<本当は…は誤解> 近鉄将棋まつりがまだ百貨店の催し会場で行われていた頃。 見学に行ったらちょうど浦野七段が解説中だった。
端っこの見やすい場所へ移動する。と、浦野七段を心配そうに見守る二人の女性。 その女性たちに、同行していた友人が「お久しぶりです」と声をかけた。
その母娘は浦野七段のお母様と妹さんだったのである。 お二人は心配そうに、そして驚きながらこう言った。
「お兄ちゃんがあんなにしゃべっている姿を初めて見た」。 お二人によれば、「お兄ちゃん」はいつも家では無口。ときどき話をする程度。なのだそうだ。
だから解説などできないと思い、心配になって見に来た。 ところがスラスラとてもいい雰囲気で話しているではないか。 お二人は驚きのあまり「すごいね」とため息を付いた。 それからである。私の中で「浦野真彦七段=家では無口」という図式が出来上がったのは。
あちこちでお会いしてお話しするが、あれはきっと仮の姿なのだろう。とずっと心の隅で思っていた。 そこで今回、意を決して単刀直入に聞いてみる。
「お家ではあまりお話なさいませんか?」。 すると麻七美夫人が「そんなことないよ。普通よ」。 何故そう思ったかを説明すると浦野七段、麻七美夫人は顔を見合わせて笑った。
「家にいたときはしゃべらないんじゃなくって、会話に参加できなかったと言う方が正しい」と浦野七段。 お母様も妹さんもとてもおしゃべりで、ましてや女性同士、なかなか会話に入って行くチャンスがなかったそうである。 なーんだ。お家でもあちこちでお会いするまんまだったんだ。よかった。 <詰将棋>
看寿賞の選考委員、将棋世界の「詰将棋サロン」、「スーパー詰将棋(囲碁・将棋チャンネル、全25回)」、 そして1日1題を目標に5手詰創作。
浦野七段は今年に入って詰将棋中心の生活を送っている。 詰将棋ばっかりで大変じゃありませんか?と聞いたら 「やっぱり好きだからかな、少しも苦にならなないよ」。 ところが原稿の締め切りはとっても苦手で、
「もう気になって気になって仕方がない。『詰将棋サロン』は締切10日前には仕上げて送っている」そうである。 もしかすると夏休みの宿題を7月中にやってしまう超几帳面なタイプ?!
(夏休みが終わっても宿題の終わっていなかった私には想像もつかない) 今年の看寿賞の選考では1000作品以上に目を通されたそうだ。
主な作品を中心にとは考えなかったんですか?と訊ねたら 「だって『あの作品はどうだったの?』って聞かれたとき、その作品を観ていなかったら悔しいでしょ。
作った人の大事な作品だからね。なんかすごく気になるんだよね」 とっても大切。 そう、浦野七段にとって詰将棋は宝物って感じがした。
<懐かしい写真> いろいろ無理を言って、浦野七段の小さい頃の写真や結婚式の写真をお借りする。
奨励会の旅行の写真は四段になった次の日の記念すべきもの。 このページ内のどれもがお二人にとって思い出深い写真です。 じっくりとご覧ください。 |